フィギュアのアイペイント(筆塗り)

フィギュア製作にチャレンジしたもののアイペイントで挫折した人は多いと思います。国宝級の職人ならともかく、一般的なモデラーでは筆塗りでアイペイントが一発で描ける人はそうはいないでしょう。しかし、塗ったり消したりが自由にできれば、細かい塗装もグッと楽になります。ここではエナメル塗料とラッカークリアを使った筆塗り塗装について紹介します。アイペイント以外の細かい塗り分けにも応用できるので、ぜひマスターしてもらいたいテクニックです。

エナメル系塗料とラッカー系塗料の性質を利用

ラッカー塗料は塗膜が強くエナメル塗料の溶剤で侵されることがほとんどないという性質を利用します。つまり「エナメル塗料で筆塗り→ラッカークリアで塗装面をコーティング→エナメル塗料で筆塗り・・・」という工程を何度も繰り返して少しずつ塗装を進めていくのです。この方法なら失敗した部分をエナメル塗料の溶剤で溶かしてもラッカークリアで保護されている部分が侵される心配はありません。この塗装法のポイントとなるのが下記の3点です。

①「光沢塗料」を使用する

 この工程では全て光沢塗料で塗装します。ツヤ消し塗装をするとエナメル溶剤でふき取る時にザラザラの表面に塗料が染み込んでキレイにふき取ことができないからです。古いホワイトボードの表面のキズにインクが入り込んで、いくらこすっても綺麗にならないのと同じ理屈です。

②「溶かす」というより「削る」という感覚で

 エナメル塗料を「溶かす」と上に書きましたが、溶剤をつけすぎて溶かすとシミが広がったようになってシャープな塗装になりません。塗装部をしっかり乾燥させて、エナメル溶剤で湿らせた面相筆の筆先で何度もなぞって少しずつ理想のラインに近づけていきます。「溶かす」と言うよりヤスリ代わりに筆先で「削る」感覚に近いと思います。

③クリアー吹きは慎重に

 エナメル系塗料はラッカー系塗料に侵されるので、クリアー吹きをする場合は注意が必要です。最初は濃いめの塗料で砂吹きをしてしっかり乾燥をさせてからセミウエット→ウェットと3回くらいに分けて吹きます。最初からウェットで吹くとせっかく完成した塗装が溶けて流れてしまうことがあります。

塗料・道具

ガイアエナメルカラーシリーズ

タミヤカラーでもいいのですが、ガイアカラーは乾燥が早いので、かえる工房ではもっぱらこちらを使っています。純色以外に蛍光カラーも発売されているので、鮮やかな色で塗装をしたい場合に重宝します。

タミヤ モデリングブラシPRO

筆はできるだけいいものを使いましょう。値段は張りますが、安い筆に比べると穂先にコシがあって急に自分の腕が上がったように感じます。通常塗装用と白塗装用の2種類を用意しておくと安心です。

塗装例

かえる工房では例のように3回のクリアーコートで完成しますが、自信がないうちはもっと細かくクリアーコートをしてもいいでしょう。

①白目とアイラインの描き込み

この作例ではエナメル塗料で白目を塗りましたが、肌塗装前にラッカー系塗料で白目を塗ってからクレオスの「Mr.マスキングゾル改」でマスキングしておく方法もあります。

②虹彩を描き込んでクリアーコート

発色がキレイなので、虹彩の塗装には主に蛍光色を使っています。

③アイライン、黒目のフチなどを描き込んでクリアーコート

この段階で表情が決まるので納得いくまでじっくりと行います。作例のように横目になっている場合は正面ではなく視線の合う角度からチェックするといいでしょう。

④瞳孔の描き込み→クリアーコート

アイラインや黒目のフチを整え、瞳孔を描き込みました。写真で見ると肉眼では分からないアラが見つかるので、毎回写真に撮ってチェックします。

⑤瞳のシャドーを塗装→クリアーコート

目の上のあたりにシャドーを入れ、虹彩にはアニメ設定通りに斜線を入れました。

⑥ホワイトでハイライトを描き込み。

⑦UVジェルクリアで瞳の光沢出し

UVジェルクリアははがれやすいというウワサを聞きますが、今までのところ特に問題ありませんでした。ホッペにはウェザリングマスターの「ピーチ」で軽くチークを入れました。

完成!

木之本桜 OP1ver.

シェリス・アジャーニ

セーラーサターン ミュージカルver.

アスカ ゴスロリver.

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