2023年9月完成
F1シリーズ第6弾は依頼品のウィリアムズ FW16。かえる工房はフラットボトム規定ができた頃からF1に興味を失い、90年代以降のF1マシンを製作するのは実は初体験だったりします。(^_^;)
この頃のF1はアクティブサスペンション、ABS、トラクションコントロールといったハイテク全盛時代でしたが、突然のレギュレーション変更でハイテク装備を失ったFW16は苦戦し、サンマリノGPでアイルトン・セナが事故死するという悲劇に遭いながらもコンストラクターズタイトルを獲得したマシンです。
製作記録
今回の依頼を受けて真っ先に心配したのがフジミ製であること。以前、BT46Bを製作した時に痛感しましたが、フジミのキットは意味不明の問題点が多くてなかなかの難物です。技術力がないより、「仕事が雑でそのツケをユーザーに払わせる」という印象です。ガレージキットだと思えばこんなものかと納得するのですが、フジミは一応伝統のある模型メーカーなんですよね・・・?
このキットの問題点は①リヤウィングが前傾してしまう。②シートやメーターがはさみこみ方式で製作が面倒。③接着部が強度的に不安。④パーツのすり合わせがキツすぎる。⑤説明書が分かりにくいうえにミスも多い。などです。
BT46Bに比べてよい点は①無意味なメッキパーツがない(ただし、初版キットではやはりメッキされていたようです)。②パーツの色分けが常識的。など、余計な工夫をやめたことくらいです。
考証面では①リアのブーメラン形ロワウィングの枚数が違う。②ブラジルGPの角ばったヒシ型の「0」のデカールがない。③サイドミラーがブルーなのはサンマリノGPだけなのに全てブルーの指定になっている。この他に初版版ではボーテックスジェネレーターの表裏逆に指定されていましたが、再販時に修正されたようです。
これらの問題のほとんどはユーザーのことを考えてキチンとチェックすれば改善できると思うのですが・・・。こういうところにメーカーの体質が現れるのでしょう・・・(´・ω・`)。
キットレビュー
パーツ一覧
ブラジルGP、パシフィックGP、サンマリノGPが選べるコンパチキットで、3種類のリアウィングパーツが付属しています。パーツは少なめで精密感についてはイマイチかな?
デカール①
通常デカール、タイヤデカールと塗り分け用のマスキングシートが付属。見たところ印刷はキレイでなかなか良さそうです。ブラバムBT46Bのデカールはカチカチで曲面にまったく馴染みませんでしたが、さて今回はどうでしょうか・・・?
デカール②
例によって「ロスマンズ」のタバコデカールは付属しないので、サードパーティーのものを使用します。依頼者様からはMSN製とミュージアムコレクション製のものが送られてきました。
仮組み
主要パーツを仮組み。細長いノーズ、エンジン部を完全に覆うカウル、複雑な形状のウィングと90年代F1らしいスタイルです。
ボディ・カウルの製作
シートの後ハメ加工①
メーターパネルやシートはボディに挟み込む方式になっていますが、どう考えても後ハメのほうが作業がラクなので写真上の取り付けダボをリューターで削り落として写真下のように加工。
シートの後ハメ加工②
ボデイの下が大きく空いているので、簡単に後ハメできます。こんな単純なことになぜメーカーが気が付かないのでしょうか?
給油口の選択
ブラジルGPでは給油口は左ですが、パシフィックGP以降から右になっているため左右のパーツを入れ替えて使用します。実車では給油口のない側はツライチになっているようなので、パテ埋めをして接着線を消しました。
オンボードカメラ①
ブラジルGPでは右側で、それ以降は左側。こういう場合、ユーザーが自分で穴あけできるようにパーツ裏側に凹モールドを入れておくものですが、このキットではそれも無し。実に手抜き仕様です。
オンボードカメラ②
きちんと位置決めをせずに塗装後に接着するのは怖いし強度的にも不安なので、塗装図を参考に取り付け位置を決めて0.5mm真鍮線で軸打ち。
フロント周りの組み立て
ノーズは下面だけをボディに接着するようになっていますが、接着面がせまくて強度的に不安なので、サスアームを仮組みして位置決めをしてから瞬間接着剤でガッチリ固定しました。
リアウイング
キットの指示通りに組み立てるとこのように前傾してしまうので、取り付けステー部を削って垂直になるよう調整しました。これまたえらくお粗末な設計です。( ´△`)
リアロワウイング①
リアのロワウイングはサンマリノGPでは「IA2」を、ブラジルGPでは「IB2」を使うよう指示されています。しかしいくら探してもIB2部品が見つからないので、欠品かと思ってメーカーに問い合わせたら、なんのことはないただの表記ミスでした( ´△`)
リアロワウイング②
ブーメラン型ロワウイングは2枚重ねになっていますが、手持ちの資料では1枚が正解のようです。しかし、依頼者様のご希望で2枚重ねにしました。こっちの方がカッチョいいし強度も出るので考証にこだわらないならそういう選択もアリでしょう。
カウル後部パーツ
カウル後部のパーツは接着式。今時の技術なら一体成形にできると思うのですが・・・。結局、組み立て中に2回、塗装中に1回折ってしまってその度に作業のやり直しです。「お前がヘタクソなだけだ!」と言われればまあその通りなのですが・・・(´・_・`)
ボディ塗装①
ボディ全体をフィニッシャーズのファンデーションホワイトで塗装してから、マスキング。テープのスキマから塗料が入り込まないようにさらにマスキングゾルで補強。
ボディ塗装②
青部分の塗装完了。ネットで検索するとフィニッシャーズの「ブライトブルー」を使っている人もいますが、実車写真と比べると暗すぎるように思えたので、「ピュアブルー」を使用しました。
デカールはり①
基本的なデカールはキット付属のものを使用。「ロスマンズ」デカールはミュージアムコレクション(上)のほうが色合いはよかったのですが、サイズが大きすぎるので、結局、MSM(下)のものを使用しました。
デカールはり②
インダクションポッドのラインはデカールの長さが足りないので、レッドとゴールドの部分を塗装でタッチアップ。
デカールはり③
デカールはり完了!完成状態に近づいてきてテンションが上がります。黒部分はカーボン地なのですが、今回はセミグロスブラックで塗装しました。
シャーシ・足回りの製作
ディスプレイベース
シャーシにナットを接着して、3mmビスでディスプレイベースに固定できるように加工。
エンジン組み立て
FW16の特徴、ドライブシャフトを内蔵したウィング状のアッパーアームの形状がよくわかります。今回はプロポーションモデルとして製作するので、全体をセミグロスブラックで塗装して、細部は見える部分だけ塗装します。
ホイール・タイヤ①
ホイールのイエローラインはデカールが付属しますが、どうしてもシワが入ってきれいに貼るのはほぼ不可能なので、塗装で対応することにしました。
ホイール・タイヤ②
ライン部をイエローで塗装してマスキング。全体をセミグロスブラックで塗装しました。はみ出しをタッチアップして完成。デカールをはるよりずっと簡単できれいにできました。
ホイール・タイヤ③
デカールをはって完成。タイヤデカールは光沢が強くて浮いて見えるので、セミグロスクリアーを吹いてツヤを整えました
最終組み立て
エンジン・足回りの組み立て
カウルを1500〜3000番のヤスリで研ぎ出し、コンパウンドで磨いて光沢出し。センターカウルにフロントサスを組み込んでシャーシと合体。
カウル・ウィングの組み立て
前後ホイールとウィング、カウルを取り付け。今回はプロポーションモデルとしてのご依頼なので、カウルも接着しました。タイヤの接地性は良好で特に調整の必要はありませんでした。
完成!
ミラーやアンテナなどを接着して完成!今回はタミヤの「ディスプレイケースC」に固定しました。ビス止めですので自由に脱着できます。