レジンキットフイギュアの軸打ち

軸打ちをする意味

レジンキットは瞬間接着剤やエポキシ接着剤で接着可能ですが、プラモデル用接着剤のようにパーツ同士を溶融させる訳ではないので、ショックを与えたり横から力を加えたりするとヒビが入ったり、接着面がはがれてしまうことがあります。そのため、足、腰、肩など大きめで負荷のかかるパーツに軸打ちをしておくとあとあとまで安心できます。また、塗装時の持ち手にできるというメリットもあるので、私は塗装用クリップではさむことを考慮して長さや太さを決めています。

真鍮線を使う理由

アルミ線は柔らかくて曲げやすいので、多少のズレならかんたんに調整できるというメリットがあり以前はよく使用していましたがが、一方で以下のようなデメリットもあります。

①ズレが調整できるといっても限度がある。

②抜き差しを繰り返すと折れてしまうことがある。

③扱っている店舗が少なく入手しにくいことがある。

そこで、試行錯誤の結果、現在はほぼ真鍮線のみで軸打ちをしています。このページでは真鍮線を使って正確でスムーズに軸打ちをする方法について紹介します。

1.材料とツール

真鍮線

主に2.0mmと1.5mmを使用。アクセサリーなど、ごく小さいパーツの固定に1.0mmや0.5mmを使用することもありますが、1/6〜1/8フィギュアの軸打ちならこの2種類でほとんど間に合います。

ケガキ針とピンバイス

ピンバイスは0.5mm〜3.0mmを使用。事前にドリルをセットしたものを用意しておくと圧倒的に作業効率が上がります。費用的に厳しい人はクレオスの「ピンバイス5本セット」がおすすめです。質はそれなりですが安価なので、本格的なものをそろえるまでのつなぎとして有効です。

WAVEのHG金属専用ニッパー

1.5mm以上の真鍮線をカットする時に使用しています。小気味良い切れ味で切断面もきれいですが、ニッパー本体が重くて取り回しが悪く歯が分厚いため、細かいカット作業には向いていません。

金属用ニッパー

1mm以下の真鍮線をカットするときに使っています。刃先が細いので細かい作業に向いています。プラスチック用のニッパーでは歯が欠けてしまうので、必ず金属用のものを使いましょう。

スプリングコンパス

定規でも十分ですが、2点間の間隔を正確に出したい時にディバイダーなどがあると非常に重宝します。

2.一般的な軸打ちの場合

写真はニューラインの藤崎詩織のレジンキットです。このキットには軸うち用のモールドがあるのでこれを利用します。キットによってはこれがないか、モールドが崩れていて正確な穴あけが難しい場合があります。その対応は「4.ズレを修正したい場合」で紹介します。

ケガキ針でモールドの中心に印を打ちます。ピンバイスの刃先が入る中心点になるので、できるだけ正確に。もし、ズレてしまった場合は中途半端に打ち直すより瞬間接着剤かシアノンで穴を埋めてやり直した方がかえって効率的です。

モールドの中心にごく小さな穴が空きました。微妙なズレがあとあと大きなズレにつながるのでしっかり確認しましょう。

2.0mm真鍮線を通す予定ですが、まず1.0mmのドリルで下穴を開けます。斜めになったりしないように確認しながら慎重に穴あけをします。ピンバイスは細いものから段階的に太いものに変えて徐々に穴を広げていきます。

次に1.5mm、2.0mmと段階的に穴を広げていきます。若干の誤差であればこの工程で修正できるし、いきなり太いドリルで穴をあけるとパーツが歪んだり裂けてしまうことがあるからです。下穴が正確に開けられていればこの工程はごく簡単です。

2.0mm真鍮線を通して、組み合わせてみます。

成功!ピッタリ収まりました!

3.貫通式の軸打ちの場合

髪の毛など薄いパーツは思い切って貫通させたほうが手っ取り早く正確な軸打ちができます。まず、髪の適当な位置に穴を貫通させます。

頭部に髪を組み合わせ、貫通した穴からドリルを通します。この際パーツがズレないように注意します。

このように穴が開きました。

髪に空いた穴は瞬間接着剤かシアノンで埋め直します。モールドの復元に苦労しないようにできるだけ平面的な部分を選びましょう。

4.ズレを修正したい場合

うまくやれば真鍮線とピンバイスだけでも十分ですが、失敗した時の修正やより高い精度がほしい場合には瞬間接着剤、シアノン、メンソレータム、瞬間接着剤硬化促進剤があると役に立ちます。

写真はクレイズの「木之本桜アリスver.」のキットですが、軸打ちモールドが崩れていて中心点がはっきりしません。そこで、まずサインペンなどで十字を書いて軸打ちの中心点を決めます。

上半身を組み合わせて、下半身にあわせて印をつけ、それを基準に上半身にも十字線を入れて中心点を決めます。

センターを決めて真鍮線を通しましたが、それでも微妙にズレてしまいました。このキットの場合、下半身の四角部分が上半身に差し込まれるのでズレていることがはっきりわかります。

そこで軸打ちの穴を一回り広げます。この部分には2mm真鍮線を通したいので、2.5mmのピンバイスを使いました。この広げた穴に瞬間接着剤やシアノンなどを流し込んで、パーツを組み合われて正しい位置で固定します。

真鍮線を固定しない側の接続面にメンソレータムなどを塗布しておくと硬化後にきれいに外すことができます。瞬間接着剤より硬化が遅く焦らずに作業ができるので、私はシアノンを愛用しています。

スカートをはさんで上半身と下半身を合体。ぴたりとおさまりました。

5.さらに

軸打ちに合わせて磁石接続の作業をしておくと、非常に便利です。興味のある方はこちらから↓