変態F1マシンシリーズ第2弾は鬼才ゴードン・マーレー設計のブラバムBT46Bファンカーです。
実車について
77年シーズンにロータス78が活躍しウィングカーの有効性が認識されるようになると、他チームも研究開発に取り掛かり78年シーズンにはアロウズ、シャドウ、ウルフなども独自のウィングカーをデビューさせました。しかし、幅の広い水平対向12気筒エンジンを積んでいたフェラーリやブラバムは有効なダウンフォースを発生させるサイドポンツーンの設計が困難でした。
そこでマーレーが採用した手法が「ファンカー」です。これは機械的に作動するファンで車体下面の空気を強制的に吸い出すというシステムで、中低速でも適切なダウンフォースを発生させることができるという点でウイングカーより優れていました。
BT46BはスエーデンGPでニキ・ラウダのドライビングによってデビューウィンを果たしましたが、「ファンがホコリや小石を巻き上げて後続車が危険である」という理由で使用禁止となり、出走はスエーデンGP一戦のみの幻のマシンとなってしまいました。
ラジエーター冷却用(嘘)の巨大なファン
カウルは脱着可能
製作記録
キットレビュー
パーツ数は約160点。かつて1/20のF1模型はほぼタミヤの独壇場でしたが、2010年ごろになってなぜかフジミ、ハセガワ、エブロなどから次々と70年代F1マシンのニューキットが発売されました。フジミからもブラバムBT46、77年仕様のタイレルP34と私好みのマシンが発売され、いつか作ってみたいと思っていました。ところが、タミヤのBT46よりグッと新しい設計でありながら想像以上の難キットでした。
キットの問題点・・・(´・ω・`)
①青塗装はデカールで再現されるが、これが恐ろしく固くて全くなじまず割れやすい。
②パーツ数が多いわりに精密感に欠け、接着面がせまくて強度的に不安なところが多い。
③パーツ間のクリアランスがキツキツで調整が必要な部分が多い。
④組み立てが意味のないパズル構造になっていて、メンドくさい。
⑤エキパイや冷却パイプの取り回し方が説明書の絵ではよくわからない。
⑥Fパーツはメッキである意味がなく、しかもそのメッキが落としにくい。
⑦ボディがヘンな白黒ツートンカラーで成型されているが、意味がわからない。
タミヤレベルのクオリティを期待するのは欲張りすぎなのでしょうが、ユーザー目線に立って製品開発をすれば容易に解決できる問題点もあるのであえて辛口でレビューをしました。質の良いデカールに変えたり、金型を修正したりするのは予算的に難しいかもしれませんが、⑤⑥⑦はさほどお金がかかることではないと思うので再販時には是非修正してもらいたいものです。しいて美点をあげるとすれば、外観は良くまとまっていてカッチョいいことと、何よりもBT46Bをキット化してくれたことでしょうか?
パーツ一覧
キット名には「#1ニキ・ラウダ」とあり、「#2ジョン・ワトソン」は別キットとして発売されていますが、ゼッケン2のデカールも付属しており、ワトソン仕様も作れるようです。悪名高い「箱替え商法」というヤツでしょうか?
メッキパーツ
ホイールとエンジンまわりは全てメッキ。ホイールはともかくエンジン本体以外は金色や黒鉄色で塗装するので、ほとんど意味がありません。接着もめんどうなので、銀の成型色のほうがいいと思うのですが・・・。
主要パーツの仮組み
あっと驚き!パンダカラーの成形色。赤一色か白一色にすればいいものを・・・いったい何を考えてこんな色分けにしたのか?大昔のマッチボックスのキットを思い出してしまいました・・・(−_−;)。
P34との比較
この前完成したタイレルP34と比較。六輪車ですがP34が意外とコンパクトで、BT46がかなり大きいことがわかります。手持ちがないので、比較できませんが、マクラーレンM23もけっこう大きく、ウルフWR1はかなりコンパクトだったと記憶しています。
フロント周りの組み立て
①シャーシにロワーアームを差し込む→②フロントバクルヘッドを接着→③上部カバーとアッパーアームをシャーシに接着→④フロントノーズを接着、と決まった順を守らなければ組み立てられません・・・(−_−;)。こんなパズルみたいな設計になんのメリットがあるのでしょうか?
フロントバルクヘッド
フロントバルクヘッドにはディティールが施されていますが、フロントノーズを接着すれば全く見えなくなります・・・(−_−;)。マニアが改造することを考慮したのかもしれませんが、それより一般的なユーザーを優先してもらいたいものです。
エンジン・ミッション・足回りの製作
エンジンとミッションの組み立て
メッキ落としをしてエンジンとミッションの主要部分を作製。通常ならボディから手をつけるのですが、ラジエーター、エキパイ、サイドパネル、ファンと干渉する部分が多く、しっかり仮組みをしないと不安なので、まず、芯となるエンジンを完成させました。
シャーシ・ボディの製作
塗装
デカールはり①
デカールは恐ろしく硬くてマークソフターがまったく役に立たないため、蒸しタオルを使ってなじませました。デカールはりだけで4日もかかってしまいました。この写真ではキレイに見えますが・・・。
デカールのタッチアップ
デカールの割れやスキマを筆塗りでタッチアップ。クレオスのブルー+レッドは少し濁った色になるので、フィニッシャーズのピュアブルーにガイアのマゼンタを極少量加えました。この後、クリアーがけ→ヤスリで研ぎ出しを何回か繰り返しました。
最終組み立て
フロントサスの組み立て
フロントまわりはなぜかパズルのように決まった手順でしか組み立てられないように設計されており、うっかりシャーシの底板を先に接着したために、組み立てるのにかなり苦労してしまいました。
エンジン・ミッションの搭載
シャーシとエンジンの接続にはネジなどが使用されていないのでしっかりと接着します。ラジエーターホースはゴムパイプではなく通常のプラパーツで再現。例によって説明書では取り回しがよくわからなくて少し苦労しました。
タイヤの取り付け
ホイールにビスを通してアップライトに内蔵されたポリキャップに接続する方式。ビスがかなり太すぎるので削ってやる必要があります。また、説明書ではフロント側にポリキャップを二つ入れる指定になっていますが、一つで十分です。
タイヤのレタリング
またしても問題発生!キット付属のタイヤデカールはガチガチに硬くてまったく使い物になりませんでした。ボディでこりたので、デカールはスッパリあきらめてフィニッシャーズのタイヤテンプレートを使用して塗装で処理しました。
ウワサどおり非常に手強いキットでした。いまいち塗装がピシッとキマリませんでしたが、今回はこれで完成とします。いつかドライバーフィギュアが手に入ったらニキラウダをのせるつもりなのでシートベルトはつけませんでした。そもそもシートベルトが付属していないという・・・。
将来リベンジをする時のための覚書
①デカールは文字やストライプのみを使用して、青部分は塗装したほうが早くてきれいに仕上がる。
②ボディのあちこちにあるリベットのモールドは全て削り落として、目立つものだけをエッチングパーツや虫ピンで再現する。