タミヤ 1/20 タイレルP34(1977年モナコGP)R・ピーターソン仕様

2023年4月製作開始

F1シリーズ第6弾は依頼品のタイレルP34です。

P34は実戦に投入された唯一の六輪車であり一目で分かる特徴のせいか現在でも人気が高く、タミヤのキットも70年代に発売されて以来何度も再販されたりリニューアルされたりしています。かえる工房でも製作依頼の問い合わせがダントツに多いキットです。

しかし、興味も知識もなくただ、P34の人気に便乗したいだけのヤカラも多く、YouTubeのF1解説の中には「前輪を小さくすることで空気抵抗が少なくなり、より多くのダウンフォースを得られた」などとトンデモ解説をしているチャンネルもあって目を疑ってしましました。!(◎_◎;)

それは極端な例としても、P34をやたらすごいすごいと「名車」扱いをする人が多いのにはいささか違和感を感じます。76年は好成績を残したものの、優勝は1回のみで、あくまでも六輪車の将来性を感じさせる程度のものです。冗談だとしか思えなかった六輪車がスェーデンGPで1−2フィニッシュを決めたのが印象に残って名車であったかのような幻想を生んだのかもしれません。

今回は77年モナコGPのロニー・ピーターソン車の製作ですが、去年製作したものとほとんど絵面が変わらないので、いつか作ろうとストックしていたキットにも登場してもらいました。

タミヤの76年日本GP仕様(正確にはF1インジャパン仕様)

P34はレースごとに仕様変更が多く、このキットも下に延長されたリアウイング翼端版やピラミッド型のエアファンネルカバーが特徴ですが、なんといってもひらがなでマーキングされた「たいれる」「しえくたあ」「どぱいゆ」が1番のチャームポイントです。

フジミの77年日本GP仕様(正確にはF1インジャパン仕様)

77年には専用の小径タイヤの開発がすすまず、アンダーステアに悩まされて迷走したあげく、「空気抵抗を減らす」という本来のコンセプトを捨ててトレッドを広げた前輪がスポーツカーノーズからはみ出してしまいました。

しかしながらロータスなら79より80、ウィリアムズならFW 07より、FW 08Bといろいろやりすぎた「迷車」が好きなかえる工房としては、当時、だれもが考えもしなかった六輪車を実戦に投入し、あーでもない、こーでもないと迷走しまくった結果、訳のわからないマシンになった77年後期型が一番好きだったりします。問題はこのキット、フジミ製なんですよね・・・(⌒-⌒; )

製作記録

キットレビュー

お手つきパーツ

キットレビューはP・デパイユ仕様の時にやったので省略。今回はお手つきキットの製作でカウルやエンジンなど一部パーツが接着済みですが、特に問題はなさそうです。

シャーシ・カウルの製作

エンジン・ミッション・足回りの製作

塗装

R・ピーターソンの製作

タミヤ 1/20 タイレルP34(1977年モナコGP)P・デパイユ仕様

2022年5月完成

懐かしのF1マシン、タイレルP34六輪車です。タミヤのカーモデルやバイクはその時代の最先端のものをキット化する傾向があり、このキットも六輪車が話題になった1976年ごろに発売されました。そして、2002年になってから新規パーツを追加してモナコGP仕様として再販されました。

76年シーズンに好成績をおさめたP34はF1マシンの新しい可能性を示し、フェラーリ、マーチ、ウィリアムズなども六輪車の開発実験を始めました。しかし、本家P34は77年にはカウルを変えたりラジエーターをフロントに配置したりと試行錯誤しましたが、グッドイヤーが専用の小径タイヤの開発を進めてくれなかったため苦戦し、レギュレーションの変更もあり実戦に投入された史上唯一の六輪車となりました。コスワースDFVの優秀さもあって、70年代のF1マシンはさまざまなコンストラクターによる変態的なマシンが多くて私の大好物です。できれば、ロータス76、リジェJS5、ルノーRS01、コパスカーFD04、ヘスケス308Bなんかもキット化してもらいたいものですが、無理だろうなあ・・・・・・(*´ω`*)。

今回はフィニッシャーズのウレタンクリアーを使用。ラッカークリアーと違った硬質な仕上がりになりました。

P・デパイユのフィギュアはヘルメットにシールドを追加。

シルバー部分はメッキを落として、ガイアカラーのexシルバーやSHOW UPのリアルクロームライトなど数種の塗料で塗り分け。エンジンにはプラグコードとエアファンネルカバーを追加。

リヤウイングのステーや翼端版にはエッチングパーツを使用し、シャープに仕上がりました。

製作記録

キットレビュー

ベースキット

基本設計がしっかりしていて今でも十分通用するキットですが、さすがに40年以上前のものとあって大きめのパーツにはバリやヒケが目立ちます。

追加パーツ・デカール

コクピットカウル、ロールバー、デカール等が再販時に追加されました。こちらはモールドがきれいでバリもありません。デカールもきれいですが、質のいいサードパーティーのデカールがあればそちらを使うかもしれません。

STUDIO27のエッチングパーツ①

オークションで落札できたので、今回はSTUDIO27のエッチングパーツを使用します。リアウイングのステーや翼端板、フロントスポイラーなどがエッチングパーツでシャープに再現できます。

STUDIO27のエッチングパーツ

主要パーツを切り出し。リアウイング翼端板の下にある「フロントサスアンダープレート」はほとんど見えない部分っですし、キットのままでも特に問題ないので使用しません。

STUDIO27のエッチングパーツ

パーツナンバー25の「リヤウイング ガーニーフラップ」にはだいぶ悩みました。最初はリヤウイング後端に接着するのかと思っていましたが、単なる誤植で「フロントカウル ガーニーフラップ」の間違いのようです。

シャーシ・カウルの製作

電池BOXのスキマ埋め

昔のカーモデルはモーター走行が当たり前でしたが、このキットも電池BOXの名残が残っています。見えないところはこだわらない主義ですが、さすがにこのままではどうかと思ってプラ板と「黒い接着剤」でスキマを埋めました。

コクピットカウル

カウルの左右のパーツを接着し、補強のため「黒い接着剤」で裏打ちしました。このキットには正確な幅を決めるための治具がついています。

76年仕様のカウル

せっかくなので、76年仕様のカウルものせてみました。ほとんど同じに見えますが、フロントスタビライザーやロールバー周辺のラインが微妙に違います。

77年仕様のカウル

追加パーツのカウルはバリもヒケも少なくピッタリとおさまりました。

ううむ・・・カ、カッチョいい!・・・カッチョいいぞッ!*\(^o^)/*

アンダースポイラー①

キットではフロントカウルに一体成形されているアンダースポイラーを切り取り、エッチングパーツに置き換えます。

リヤウイング①

エッチングパーツのステーは取り付け用のダボがなくプラパーツよりずっと薄いため、そのままでは組み立てられません。そこで、虫ピンとメッキパイプでステーを新造し、0.5mmプラ板から切り出したスペーサーを接着しました。

リヤウイング

リヤウイングのパーツ一覧。リヤウイング下面のステーを差し込む穴はプラパーツのサイズでは広すぎるので、0.3mmプラ板を埋め込んで狭くしました。

リヤウイング

仮組み状態。苦労しましたが、なんとか組み上がりました。

リヤウイング

エッチングの翼端番を接着。直角がきちんと出るように接着剤が乾燥するまで真鍮ブロックで固定します。

エンジン・ミッション・足回りの製作

エンジン・ミッション①

カウルと違ってこちらのほうはバリも少なくパーツの合いも良好でした。

エンジン・ミッション②

細かいパーツが多いですが、組み立てミスを防ぐためにわざとダボの位置を前後左右で変えたりしています。40年以上前のキットですが、こういう細かい配慮ができるのはさすがタミヤです。

リヤブレーキダクト

リヤブレーキダクトは開口されていないので、ダクトの先端を2mmほどカットして0.3mmプラ板で箱組みをして開口部を再現しました。

フロントサス

前輪はステアリングしないので、きちんとアライメントがでているか確認しながら接着します。接着面にバリやゆがみが目立つので丁寧にすり合わせをしました。

ドライバーフィギュアの製作

フィギュアの組み立て①

MMシリーズと同じノリなのか、この時期のタミヤはカーモデルもドライバー付きでした。首と肩に軸を埋め込んで、肩のスキマを黒い接着剤で埋めました。さて、ロニー・ピーターソンにしようか?パトリック・デパイユにしようか?

フィギュアの組み立て②

キットのままでは顔が丸出しになって少し間抜けに見えるのでシールドを自作しました。0.3mmプラ板では少し厚すぎるので、ハセガワのミラーフィニッシュの外箱を切り抜き、ドライヤーで熱して曲面に加工しました。

フィギュアの組み立て③

仮組み状態ですが、なかなか良さそうです。

塗装

ボディの表面処理

捨てサフを吹いて400〜600番のヤスリで表面処理。

下地塗装

白の部分の下地はいつものようにクレオスのベースホワイト。青の部分は今回初めてガイアノーツのサーフェイサーEVOスカイブルーを試してみました。

本塗装

青の部分はフィニッシャーズのピュアブルーで、センターカウルはフィニッシャーズのファンデーションホワイトで塗装。

デカール貼り①

結局、六輪車大好きのデパイユ車にしました。「FIRST NATIONAL CITY TRAVELERS CHECKS」のデカールはカウルの分割ラインでカットしてやる必要があります。

デカール貼り②

レーシングマシンは久しぶりでデカール貼りだけで丸一日かかってしまいました。クリアーをかける前に二日ほど乾燥機に入れて十分乾燥させます。

クリアーコーティング

フィニッシャーズのウレタンクリアーGP1を使用。薄めかたとエアブラシの空気圧の加減がなかなかつかめずうまくいくかどうか・・・。

エンジン・ミッション完成

狭いスペースにステーやホースやコードが複雑に組み合っていてうまく合わない所を強引に接着したりとなかなか大変でした。

リアウィングステー完成

リアウイングステーをミッションに接着。慎重に組み立てつもりでしたが、ウィングをのせてみたところ、水平がやや狂っていたので、最終組み立てで調整します。

バランスチェック

タイヤを本体に装着してバランスチェック。右前輪が若干浮いていたので、足回りを微調整しました。

エアファンネルネット作製

金網に3mmベアリングと5円玉を押し付けて型取りをし、4mmのポンチで打ち抜き。この作業を8回繰り返します。金網が硬いのかポンチの切れ味が悪いのか切り口に少しギザギザが残ってしまいました。

エンジンまわり完成

エアファンネルにカバーを接着して完成。ロールバー、エアファンネルなどはSHOW UPのリアルクロームライト塗装しました。

タイヤの塗装

トレッド面を240番のヤスリで一皮むいて「GOOD YEAR」のレタリングを塗装。テンプレートを使ったほうがかんたんなのですが、ショルダー部にモールドが入っていたので、それに沿ってチマチマ筆塗り。後輪はまあまあですが、前輪は小さすぎてたいへんでした。

P・デパイユの塗装

組み立て説明書ではヘルメットもスーツもブルーの指定ですが、ちょっと単調だしスーツが水色になっている資料があったので、色を変えて塗装しました。

デカール貼り付け

デパイユのヘルメットの赤と白のラインは5枚のデカールを組み合わせて表現しますがうまく貼り付けるのがなかなか大変でした。表面はほとんど三次曲面なのでマークソフターを使って強引に馴染ませました。

細部塗装

ボディにもデカールを貼り付けてグローブやシートベルトなどの細部を塗装。後でシールドを付けるので顔の塗装はケッコーいい加減。(^_^;)

ヘルメット完成

エポキシ接着剤でシールドを接着。この後、接着剤のはみ出しを落としてクリアーをかければ完成です。